焦電型赤外線センサ PaPIRs(パピルス)使用上のご注意
原理的に注意すべき点
PaPIRsは、赤外線の変化を検出する焦電型赤外線人感センサです。人体以外の熱源を検出したり、熱源の温度変化および移動がない場合には検出しないことがあります。一般的に、以下のような場合には注意が必要です。必ず実際の使用状態において、性能および信頼性の確認をお願いいたします。
1.人体以外の熱源を検出する場合
a) 小動物が検出範囲に入った場合
b) 太陽光や白熱灯などの熱源、その他強い光源などの光線が検出範囲内外を問わず、センサに入射する場合
c) 冷暖房機器の温風・冷風や、加湿器の水蒸気などにより検出範囲および、その周辺の温度が急激に変化した場合
2.熱源を検出しにくい場合
a) ガラスやアクリルなど、遠赤外線を透過しにくい物体がセンサと検知対象との間にある場合
b) 検出範囲内の熱源がほとんど動かない場合、もしくは高速に移動する場合
3.検出エリアが大きくなる場合
周囲環境温度と人体との温度差が大きい場合、検出範囲として指定した以外でも、飛地的に検出するエリアが存在することがあります。
4.誤動作する場合
焦電素子の性質上、稀に突発性雑音出力により不要な検出信号が出力されることがあります。用途上、不要な出力が許容されない場合には、パルスカウントなどにて対策をお願いいたします。
5.検知距離について
パナソニックの焦電型赤外線人感センサは、通常レンズ付きでご提供しますので検知距離も仕様で規定されます。焦電型赤外線人感センサは赤外線の変化を検知する原理のセンサであり、赤外線の変化量は下記の3要因で決まります。それを検出条件として仕様に規定しています。
- 検知体と背景の温度差 (温度差が大きいほうが検知しやすい)
- 検知体の移動スピード (速すぎたり遅すぎると検知しづらい)
- 検知体の大きさ (大きすぎても小さすぎても検知しづらい)
仕様に記載されている検知距離はそれぞれの検出条件においての検知距離を示します。パナソニックでは検知体と背景の温度差が4℃を基準としております。検知距離は、温度差がより大きいときはより遠距離の検知も可能であり、温度差がより少ないときは検知距離も短くなります。たとえば検知体と背景の温度差が8℃のときは、仕様の4℃の検知距離の約1.4倍の距離の検知ができます。
6.レンズなし品について
レンズなし品はそのままでは検知が不確かになり検知距離や検知角度は規定できません。お客様のデザインに合致したレンズをそれぞれご用意ください。レンズ設計に関わる技術情報については、お問い合わせください。
7.レンズ材料とプレート設置について
PaPIRsが検知する波長の赤外線を透過する汎用材料はポリエチレンのみで、レンズには高密度ポリエチレン(HDPE)を採用しています。レンズの前にプレートなどをおかれる場合には必ずポリエチレンを採用ください。ただしその厚みや色により赤外線透過量が減少し、センサの検知感度が減少し、検知距離が短くなりますので実物で感度をご確認ください。
取り扱い上のご注意
1.使用環境については最新の仕様書をお取り寄せのうえ、詳細をご確認ください。
2.リード線の半田付けをする場合は、手半田で半田コテ先温度350℃以下、3秒以内で行ってください。半田槽による半田は、性能の劣化を招きますので避けてください。またリード線を曲げて基板へ仮固定することは、センサを破損する恐れがありますので避けてください。
3.製品にストレスがかからないよう、プリント基板に実装してください。
4.本センサの洗浄は避けてください。洗浄液がレンズ部に侵入し性能劣化を
招く恐れがあります。
5.本製品を落下された場合は、原則としてご使用にならないでください。
6.±200V以上の静電気が加わりますと破壊することがあります。端子に直接手で触れないなど、取り扱いには十分ご注意をお願いいたします。
7.ケーブル配線にてご使用される場合は、ノイズの影響を防止するためシールド線を使用し、極力短い配線をおすすめします。
8.外部サージ電圧が加わりますと内部回路が破壊することがありますので、サージ吸収素子などをご使用ください。
9.電源には安定化電源をご使用ください。電源重畳ノイズにより、誤動作する場合があります。
- ノイズ耐量 :
- ±20V以下(標準タイプ)
- ±10V以下(高感度タイプ)
- ※50nsおよび1μs幅の方形波
センサ電源入力端子には、電源重畳ノイズ性能を確保するためコンデンサを設け、電源電圧の安定化を図りご使用ください。
10.静電気やカミナリ、携帯電話、アマチュア無線、放送局などの電気的雑音によって、誤動作する場合があります。
11.レンズに汚れが付着すると検出性能が劣化しますのでご注意ください。
12.レンズは柔らかい材料(ポリエチレン)でできています。レンズに荷重や衝撃が加わると、変形や損傷により動作不良、性能の劣化を招きますので避けてください。
13.使用周囲温度および湿度の範囲につきましては、センサを連続的に動作することのできる温度湿度であり、耐久性能、耐環境性能を保証するものではありません。一般的に高温度、高湿度の環境下では電子部品の劣化が加速されますので、ご採用の際は事前に使用される環境を想定した信頼性の確認をお願いします。
14.ベンジン、シンナー、アルコール、各種洗剤などで拭かないでください。変色や変形の原因となります。
15.高温、高湿、塵埃の多い場所、腐食性ガスのある場所、液体中、潮風の存在する場所などで保管しないでください。センサ本体や金属端子部などが劣化し、動作不良や性能劣化を招く恐れがあります。
16.保存条件
温度:+5~+40℃ 湿度:30~75% RH
着荷後、1年以内に使用のこと。
安全に関するご注意
- けがや事故防止のため、以下のことを必ずお守りください。
1.定格、環境条件など仕様範囲を超えて使用しないでください。仕様範囲を超えて使用した場合、異常発熱、発煙などで回路損傷による事故の恐れがあります。
2.当社は品質、信頼性の向上に努めていますが、一般に電気部品・機器はある確率で故障が発生します。また使用環境、使用条件によって耐久性が異なります。ご使用にあたっては、必ず実使用条件にて実機確認を行ってください。性能が劣化した状態で引き続き使用されますと、絶縁劣化により、異常発熱、発煙、発火の恐れがあります。製品の故障もしくは寿命により、結果として人身事故、火災事故、社会的な損害などを生じさせないよう冗長設計、延焼対策設計、誤動作防止設計などの安全性や定期的な保守の実施をお願いします。
3.リード線の接続につきましては、仕様図などでピン配置をご確認の上、正しく接続してください。誤った接続をされますと、予期せぬ誤動作、異常発熱、発煙などで回路損傷の原因となる恐れがありますので、ご注意ください。
4.センサを分解もしくは改造して使用しないでください。
5.センサの故障モードとして、ショート〈短絡〉とオープン〈開放〉があります。ショート〈短絡〉の場合、温度上昇の発生が考えられます。安全上特に重要な用途には、保護回路、保護装置などによる安全などの適切な処置をご配慮ください。
・各種安全機器や安全装置 ・交通信号機 ・防犯、防災装置 ・列車、自動車などの制御やその安全に関する装置 など
ページトップへ戻る